「戦争へ向かう今 デジタル監視法・重要土地調査規制法案に反対する」に120人
2021年 05月 30日
今の日本の情勢で、なぜこんな法案が提出され、なにを狙っているか。今後どのような社会で生きていくことになるかの話をしたい。
新ガイドライン日米合意後、戦争をする国への法制度・法整備が次々に進んできた。
アメリカ軍によって促されて合意が先行して、追随して法制度が整備されている。立憲主義はどこにいったのか。
安保法制法で、戦争の危険は2種類ある。
1)アメリカの下請けとして外国に自衛隊が送られて現地の民衆や子どもを殺していく。また自衛隊員が戦死する
2)台湾有事などで日本の自衛官が、「武器を守る」名目でアメリカの艦船防護(弾除け)を行い、戦争に巻き込まれる危険
ドイツも敗戦国だったが冷戦で再軍備したが、国防軍はNATO域内から出なかった。冷戦終結後、憲法改正せずNATO域外に出て行った。イラク派兵はドイツは断っているが、アフガニスタンにはドイツ軍が派遣され、戦後初めての戦死者が54名出た。
その国の民衆や子どもを殺すことに自衛隊が加担していいのか。また、中国側から見た場合、台湾有事でアメリカを攻撃するか?全面戦争になるためしないと思う。まず日本の自衛艦に発砲する可能性がある。
今回の重要土地調査規制法案は不服申し立てが書かれていない。法文上、戦争事態前提か平時なのか明確ではない。
どうしてそんな問題意識を持ったか。
国内治安立法として秘密保護法、共謀罪、盗聴法が成立した。成立した立法過程の開示請求訴訟を行ったが、国は何も出さない。国会にかかっているときは「国内の秩序を混乱させる」。裁判中に成立したが「外国に対する信頼を失う」。何が問題かわからない。本当に必要な情報が出てこなくなった。
それでも秘密保護法違反、共謀罪違反の逮捕はない。これは反対の国民世論のためで、監視を緩めると自由に政府は使ってくる。
戦前の日本には地方自治は存在せず、内務省が県知事や警察を任命していた。
デジタル監視法や重要土地規制法は内務省に当たるものかと当初思ったが、内務省は必要なく、総理大臣による直接の独裁が可能となる。総理大臣が県知事等に指示ができ、従わないときは政府がやれる。平時は憲法上地方自治があり、政府が直接やるわけにはいかないが、デジタル監視法は地方自治を吹き飛ばす。
調査対象は、決して反政府活動している人だけではない。
過去、自衛隊や公安警察は秩序を乱す全ての思想や行動を監視してきた。仙台の情報保全隊訴訟で、国は「反基地活動デモ隊は基地を襲うかもしれない。反自衛隊活動をしている人は自衛隊員に秘密を洩らせと働きかけるかもしれない。」と法廷で堂々と述べた。
近代国家は憲法、法律で与えられた範囲しか動けない。しかし情報保全隊は芸名で歌を歌っていたシンガーソングライターの氏名と勤務先を調べて報告しており、裁判所は1人だけ勝訴させた。しかし、成人式で反対ビラを配っていた人は、2審では「知られるのを承知で出ている」として敗訴した。
マンション建設反対運動は、公権力にとって神経とがらせる情報か?警察は大きな企業に反対することも秩序を乱すとみている。
重要土地調査規制法案には、外国の資本が入るのは問題としているが、昨年2月の国会では「立法事実はない」としていた。今国会では「答えることはできない」としている。
全国の自衛隊の施設を数え上げた人がいて、A4で10ページにわたっている。
その他、国民生活に重要な施設として、原発等発電所、医療施設、交通施設、金融機関、情報通信施設などがあげられている。
不服申し立ては法文上なく、無効確認訴訟は絶望的。いったん指定されると全国各地で争う手段もない。われわれ国民は調べられてもしょうがないという立場に置かれる。衆議院の委員会採決では、共産党、立憲が反対した。
この国会で通さなければ廃案の可能性がある。筋を通すことを期待したい。
現在でも、警察は「捜査関係照会書」に任意捜査と書かず、何でも調べている。
デジタル監視法は免許証や保険証、銀行預金などを共通仕様にして照会することが出来る。手間さえなくなる。
アメリカでは犯罪が起きそうなエリアや調査立ち入り店をAIで選別している。
また再犯のリスク、児童虐待、教師の能力評価、脱税予測までしている。
中国の社会信用システムでは、信用スコアが高い人には特典を出し、低い人には罰を与える。
プライバシーはほおっておいてもらう権利と言ったが、ドイツでは自己情報決定権、自己情報コントロール権まで議論しており、DNAは無罪になったら廃棄と法律上定められている。
デジタル法案は束ね法案で、1000ページ64本あり50数時間しか議論がなかった。民主主義が形骸化・空洞化している。
戦時体制での監視対象として自国領域内の外国籍の人をあげたいが、直ちにはできないからテロの脅威を振りまいた。組織犯罪の不安を強調し、ターゲットとして使われた。不法滞在が大罪を犯したように描いている。
また、人を国籍、人種、団体など属性で見ず、あるがままには認めるのが近代国家としてあたりまえ。
政府が、大衆的な偏見を煽り、教育やオリンピックなどイベントでナショナルアイデンティティを煽る。
以前共謀罪法の話しを高校生にしたが、人の全行動が把握されることについて、大人の中には構わないという人がいるがとしたら、「自分がSNSなどにあげるのはいいが、知らないところで調べられるのはいや」とはっきり言った。それが健全な感覚だ。
台湾有事について、米軍関係者は「中国が台湾に対し、6年以内に武力侵略はあり得る」と述べているが、私はないだろうと思っている。台湾国民で中国統一を望む声が4%。中国が平穏に台湾を統治できるかといったらできない。
戦前日本陸軍の中将で国家総動員体制の責任者が「日本国は非武装での抵抗が最も現実的だ」と述べた。国家は命令に従う国民がいなければ成り立たない。自分で考えてみて欲しい。
改憲の動きに歯止めをかけるため、集会、デモや学習会をしよう。若者の運動に積極的に参加しよう。