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特定秘密保護法に反対するため、弁護士や市民が「秘密法と共謀罪に反対する愛知の会」を結成しました。各地のイベント、最新ニュースも載せます。集団的自衛権にも反対です。https://www.facebook.com/nohimityu


by beshi50
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19/8/21 連続セミナー 第2回を行いました

冒頭、前回も参加された方から、前回の発題者に質問があり、林弁護士が答ることから始まりました。
(「連続セミナー」であることの意味が出ました)
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発題者の川口創弁護士が19時にしか到着できないことから、その旨予告していたことですが、まさに「表現の自由(不自由)」の問題として全国、全世界に注目されることとなった「あいちトリエンナーレ 『表現の不自由度展・その後』」の中止問題での意見交換がありました。
(「秘密法と共謀罪に反対する愛知の会」としてのステートメントを近日中に出します)

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川口弁護士が到着し、まず最近のニュース映像が流されました。
知人の犬がいなくなったので、善意から迷い犬探しの「張り紙」をしたところ、名古屋市の条例に違反した、と天白警察署に呼ばれた女性の疑問と憤り。
「確かに条例に違反したかもしれないが、重大犯罪の容疑者のように扱われるようなことなのだろうか?」

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☆ 川口創弁護士のレジュメ
http://www.tokuyamadam-chushi.net/sonota13/hatsudai1.pdf
☆ レジュメに添付された資料
http://www.tokuyamadam-chushi.net/sonota13/hatsudai2.pdf

まず、ニュース映像に流れた女性とは別の「名古屋市内の50代の女性保育士Aさん」の例について話されました。
(同様な事件が幾つもある、ということです)
詳しくは、レジュメPDFファイルをご覧ください。

・Aさんは、2014年6月、行方不明となった犬の情報を求めるチラシを、天白区内に9枚貼ったところ、7月になって「名古屋市迷惑防止条例に違反する」として、天白警察署から出頭を求めらた。
・8月に再度呼び出され、身上経歴の書面を作った後、鑑識室に連れて行かれた。説明もないまま写真を撮られ、両手10指の指紋を取られ、さらにDNAも採取された。DNAに際しては捜査に必要だという説明も、任意であって断れるという説明もなく、問答無用で採取された。
・その後、不起訴となったがAさんは、将来にわたってずっと、被疑者として、自分の写真、指紋、DNAデータが警察に保管され続けることは耐えがたい苦痛を覚えていた。しかも「任意」であって断れる、という説明もなかったことに、強い憤りを覚え、同年11月頃、天白警察に情報の削除を求めが、削除の旨の連絡はない。
・Aさんは、2019年6月13日、「警察に取り調べを受けた際に採取されたDNAデータを捜査終了後も保管しているのは憲法13条に違反する」などとして、国を相手にデータの抹消と慰謝料を求めて名古屋地方裁判所に提訴した。(この提訴は中日新聞などで大きく取り上げられた。)

・国会議員を通じて入手した情報によれば、2018年末時点で、DNA型データベースの登録件数は121万3928件に上っている(100人に1人の確率!)。2010年から始まったデータの集積は年々拡大し、膨大なデータベースとなっている。
・DNAのデータベース化については法律の規定がなく、国家公安委員会の内部規則があるのみ。データの削除は「死亡」か「必要がなくなったとき」しか認められず、「必要がなくなったとき」とは、データの重複などの場合を指すとのことであり、捜査が終了してもデータは削除されることなく、保管、集積される仕組み。
・寄せられた情報によれば、各警察署で「DNA採取月間」なる、DNAデータの採取を推進している期間がある。その期間以外であっても、基本的に取調室に入った者からは全てDNAを取る、という方針で臨んでいる。
・先行する類似事件の尋問で、警察官が明確に法廷で「原則としてどんな事件であっても、基本的に顔写真、指紋、DNAデータは収集することとなっていて、拒む人はほとんどいない」と証言していた。
・「任意」を装いながら、実際には採取を拒めない実態があることを裏付けている。
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・DNA型データベースについては、諸外国でも整備されつつあるが、究極の個人情報であることから、いずれも法律によって厳密に定められてる。法律によらずに、「任意捜査」を装って無尽蔵にデータを入手し、集積しているのは、”先進国”では日本くらいしかない。
・ドイツなどでは、「情報自己決定権」を侵害しないよう配慮しながら法律が整備されており、捜査終了後は性犯罪や重大犯罪以外は削除されることになっている。
・DNAデータが集積していく、ということは、国家に常に監視される社会が構築されていく、ということでもある。
・多くの市民のデータが保管されればされるほど、常に模範的な市民として生きようとする萎縮効果が高まると言われている。国家にたてつくことなく、模範的な「羊」として生きる国民を作り出すことになる。これは、アメリカの学者、ジェド・ルーベンフェルドが述べるように「全体主義原理」を国民生活の中に植え付けていくことに他ならない。
・民主主義を根底から侵蝕しかねない、重大な問題だ。


・日本は、すでに高度な監視国家となりつつある。しかも、個人に自己の情報が国家に管理されることに対する抵抗感が低い、ということもあいまって、その進度は著しいものがある。
・また、DNAデータの採取が「任意捜査」を装って無制限に行われている現状は、DNAデータの集積のために、軽微な事件でも取り調べを行い、DNAを採取するということを誘発する。つまり、DNAを取るために捜査をする、ということが拡大しかねない。警察権が過度に干渉してくることにつながる。
・DNA等の究極の個人情報を法律に基づかずに国家に集積されるということは、情報自己決定権を侵害し、個人の尊厳を明らかに踏みにじるものであると同時に、先述したように、民主主義の根幹を揺るがす重大な事態だ。こうした裁判を通じて、問題を広く知ってもらい、個人の尊厳と民主主義を守るために、重大な闘いとして力を尽くしていきたい。

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「DNA採取月間」なる、DNAデータの採取を推進している期間がある、というのには、参加者一同、驚いたというか呆れたというか。


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討論では、「指紋」(データベース)のことや、任意と言いながら「拒めない」問題などが経験を含めて離されました。
・昭和30年代、中学校で、全生徒の10指指紋をとられた。「災害のときにあったほうが良い」とか説明されて(名古屋、愛知では広く行われた行われたらしい)。あの指紋は今、どうなっているのだろうか、気味が悪い。
・空き巣に入られて警察に被害届を出したとき、「犯人のものと区別するために家族の指紋をとる」と言われてとられてしまった。被害届の手続きの流れ作業のような雰囲気で「指紋採取は断ります」と言える雰囲気ではなかった。あの指紋はどうなっているのだろうか。
  → 警察官曰く「被害者だ、と言っているのは本人だけで、我々の目から見れば、被害者も被疑者のうち」。確実に被疑者データベースに入っていると考えるべきだろう。国家公安委員会の内部規則では、データの削除は「死亡」か「必要がなくなったとき」しか認められず、「必要がなくなったとき」とは、データの重複などの場合を指すとのことだ。いったん取られたデータは「死亡」するまで保管、集積される仕組みとなっている。

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 白龍町マンション事件ででっちあげ「暴行」事件で逮捕・起訴され、無罪が確定したOさんは、逮捕時にとられた自己情報の抹消を求めて裁判をしています。そのことについての保簡単な報告がありました。
 また大垣警察市民監視違憲訴訟原告のFさんから、「我々の場合、どういう情報がどんな方法でとらたのかもわからない。そういう意味で抹消請求の対象は明確ではなく、裁判所にも、支援者にもわかってもらいにくいところがある。公安警察が勝手に情報収集し、データベース化し、それを好き勝手に利用している、ということが、特別な人間だけの問題ではなく、社会のありように関わるすべての市民の問題であることを、どう伝えていけるのか、原告として今、悩み、奮闘しているところだ」という発言がありました。


<参照>
★2016.9.15 日弁連意見書
顔認証システムに対する法的規制に関する意見書
https://www.nichibenren.or.jp/activity/document/opinion/year/2016/160915_2.html

★2019.8.11 朝日新聞
匿名でも個人特定可能―ビッグデータ安全性 海外研究で懸念―
http://www.tokuyamadam-chushi.net/sonota13/20190811asahi.pdf


この回の参加者は26名。

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◆ 連続セミナー第3回 
  日本の表現の自由、報道の自由は崖っぷち
   -国連特別報告者デービッド・ケイさんの新たな勧告と日本政府の対応―

9月9日(月)18時30分~
名古屋第一法律事務所3F

(名古屋市中区丸の内2-18-22 三博ビル)
参加費:500円




by beshi50 | 2019-08-23 23:30 | お知らせ・報告など | Trackback | Comments(0)