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特定秘密保護法に反対するため、弁護士や市民が「秘密法と共謀罪に反対する愛知の会」を結成しました。各地のイベント、最新ニュースも載せます。集団的自衛権にも反対です。https://www.facebook.com/nohimityu


by beshi50
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藤田早苗さん学習会「国際社会から見た日本の表現の自由とメディア」に90人

「秘密法と共謀罪に反対する愛知の会」は、18/5/30ウィルあいちにて学習会「国際社会から見た 日本の表現の自由とメディア」を開催し、90名の参加があり大盛況でした。
(配付資料は講師の希望によりネットにアップしません)


まず、「秘密法と共謀罪に反対する愛知の会」共同代表の本秀紀・名古屋大学教授が挨拶しました。

なぜ表現の自由は保障されなければならないか。なぜ憲法21条に書いてあるか。
 ・個人的意義 ・社会的意義 ・自己統治の価値 から重要だ。
 民主主義を実現するためには、様々な意見が表明され、意見が交換されてどう考えればよいかが判断できる。だから報道の自由も保障されている。
 残念ながら日本の報道の自由度ランキングは先進国の中で低い。国会にも改ざん文書が次から次へと出されている。本当に何が真実か、国民が知ってはじめて国民主権が実現する。
 藤田さんの本日の講演で、国際的な視点から明らかにしていただける。
 

次に、エセックス大学人権センターの藤田早苗さんが軽快な関西弁で講演しました。


 去年、国連特別報告者のデービッド・ケイ氏が日本の表現の自由について調査し、「日本政府はメディアに直接間接に圧力をかけており、表現の自由や知る権利に懸念を示す」旨の報告書が公表された。
 また、別の国連特別報告者のカナタチ氏が共謀罪に対して懸念を示す書簡を送った。これら国連特別報告者に情報提供してきた。
 その詳細について全国8カ所・19大学で講演・授業を行っている。
 特に大学生に授業をすると、「日本がここまで腐っていたとは」とショックを受けている。大学生が大学を超えてつながってきている。
 また、ロンドンやオランダ、ドイツでも講演をしている。このような活動をカンパでずっと支えて下さっている愛知の会の皆さまには大変感謝をしている。
 
 自民党の改憲草案について、九条以外については学生も海外の人もほとんど知らない。「どうして日本人は我慢できるんだ」と言われる。最近「日本すごい」という番組が多いようだが、世界の中の日本の立ち位置を知らないと意味が無い。
 
 イギリスでは若い人の中でコービンという野党党首の人気が大変高い。顔写真付きのカバンを持っている学生いる。そんなことは日本では考えられない。
 また、イギリスやヨーロッパではレジ袋は有料化され、事実上廃止されている。日本の男女収入格差もOECD中下から3番目とよくない。選択的夫婦別姓が許されていないのは日本だけ。最高裁も合憲と判断した。しかし国連からは延々と変えるよう言われている。
 日本の国会で居眠りをしている国会議員の写真を見せると、留学生はびっくりする。どうしてこんな人達が国会議員になれるのか。一つの理由は世界一高すぎる供託金(参議院比例代表で600万円)。しかも国会議員の年収もイギリスの2倍。東京オリンピックの競技場の費用は、過去5回の合計より高い。
 海外から見ると、日本のことが相対化される。
 
 私は高校生の時に、途上国の劣悪な労働条件の下で作られた製品・たべものを先進国で消費しているという本を読んでショックを受け、人権問題に興味を持った。
 ヒューマンライツとは、声が出せない人、声を出しても聞いてもらえない人に光を当てて問題を世の中に知らせること。ジャーナリストもまさにそう。
 では人権とはなにか。「生まれてきた人間全てに対して、その人が能力を発揮できるように、政府はそれを助ける義務がある。その助けを要求する権利が人権」
 国連人権高等弁務官事務所のウェブサイトで紹介されてきた定義。「政府はそれを助ける義務」と言うところがポイントだが、日本ではそこがぽろっと抜けているような感じがする。
 人権の義務、その主体は国家だ。国家がどのようにその義務を果たしていくかを具体的に規定するのが国際人権法。
 戦前、人権問題はその国の問題で、内政不干渉と思われていた。しかし第二次世界大戦中に大規模な人権侵害が起こった。私はアウシュビッツに行った。ドイツの学生が結構来ている。日本の学生は戦争中にアジアで何をしたかわざわざ学びにいくのか?ともかく、現在の国連が作られるとき、「一国の人権問題はその国だけの問題ではなく、国際関心事となった」。
 「国連からの勧告は内政干渉だ」という声は全く勘違い。日本では、戦争中に日本軍が犯した問題についてここ数年歴史の教科書から削減されている。デイビッド・ケイさんはそれも問題視している。

 国連は国連憲章に書いただけで無く、世界人権宣言を作ったが、学生はほとんど読んだことがないという。世界人権宣言は様々な内容が入っている。女性とか拷問禁止とか、障害者の権利などは条約化されたが、国内法を整備しないと条約を批准できない。
 逆に条約に入っているのに反する法律を作ろうとすると警告が来る。だから秘密保護法や共謀罪が成立する前に国連から警告があった。
 国連の総本部はニューヨークにあるが、人権の本部はスイスのジュネーブにある。ジュネーブは物価が高く、皆さまのカンパで節約しながら年3回ほど行って活動してきた。
 条約機関は大学の先生や弁護士らが個人の独立専門家として参加して、各国の報告書審査をして勧告を出している。日本に対してはさまざまな勧告が出されている。
 各条約委員会は「個人通報制度」を設けている。これは最高裁で負けて不服が残る場合、国連に持って行って審査可能だ。
 しかし条約とは別の選択議定書を批准しないと行けないが、日本政府は一切していないため個人通報制度が使えない。一切使えないのは先進国では日本だけ。
 民主党政府の時にマニフェストに入れていたが間に合わなかった。
 
 上記とは別に人権理事会があり、47カ国で理事会を組織している。日本も理事国の一つ。この理事会は「普遍的定期的審査(UPR)」を行う。
 日本も去年11月に3回目の審査を受け、200以上勧告が出て、4分の3位を受け入れたがあとは無視した。
 報道の自由について、報道機関の独立性を守るために放送法を変えろと言ったが無視した。
 人権理事会は44のテーマについて特別報告者を任命している。国連から経費と日当は出るが、給料はでない。「王冠で最後に載せる宝石」と評されているくらい重要な役割をしている。
 
 4人の国連特別報告者から4日ほど前、日本に対して「貧困層への社会保障を削減する政策」に対して声明が出ている。
 https://t.co/83zSftqm5R
 政策によって日本がこんな措置をするのは、貧困層が尊厳を持って生きる権利を踏みにじる意図的なものだと言っている。貧困層はギリギリの生活をしておらず、声もあげられない。もっとメディアは取り上げるべきだし、政府も真摯に取り上げるべき。
 
 第1回国連総会で「情報の自由は基本的な人権で、国連が関与する全ての自由の試金石」と言っている。
 例えば、情報が守られているレベルが80なら、他の自由も人権も守られていると推定できる。
 情報が20しか守られていなければ他も危ないと推定できる。
 「どうして情報が大事か」と学生に聞くといろんな答えが返ってくる。留学生からは「情報が無いと思考できない。人格形成にかかわる」と言っていた。食べ物が安全かわからなければ健康を害する。
 戦時中、政府は「焼夷弾は掃いて捨てよ」とポスターを作っていた。正しい情報がタイムリーに入手できないと本当に危ない。
 福島の除染フレスコバックに入った汚染土砂が「再利用」として全国にばらまかれる計画がある。危ないことが着々と進んでいる。
 
 大学で表現の自由を勉強してきたが、2013年9月に秘密保護法案を知り、非常にショックを受けた。ひどい内容だし、プロセスも透明性がない。
 秘密の指定が曖昧で、ジャーナリストが大きな処罰を受ける危険性がある。私は法案を英訳して国連の特別報告者に知らせ、警告が出た。
 福島の問題も黒塗りばかり。森友の問題も真っ黒で誰も処罰されない。前国連特別報告者のフランク・ラ・ルーさんは「公開からはじめる。誰でも情報にアクセスできないとダメ。公の情報は市民に属する。秘密主義は民主主義に反する」と言っている。
 必要なときは非公開にすることは国際人権法上も許されているが、厳格な条件に従ってやらないといけないといっている。
 しかし秘密保護法はそうなっていない。
 
 私は過去17年間国連人権機関で傍聴してきた。
 最初は貧しい国のために国際貢献したいと思ってきたが、この4年ほどは日本をほおっておけないと思い行動している。
 現在どんどん悪化していると思っている。イギリスのエコノミストという雑誌は、国連特別報告者の警告に対して日本政府は政府は逆上しただけで軽んじているという記事が掲載された。ロイターやニューヨーク・タイムズやガーディアンなどにも載った。
 しかし、読売・産経・日経・毎日は「国連事務総長は『国連特別報告者は個人の資格で活動していて、国連の総意を表明するものじゃない』といった」と掲載されていた。
 翌日国連からは正式に「国連特別報告者は個人の資格で活動している」とのみでた。ニュアンスが違う。
 上記は閣議決定もしている。しかし人権理事国選挙に出る際、日本は「国連特別報告者を重視する。特別報告者との有意義かつ建設的対話の実現のためにしっかり協力していく」と言っていた。
 外務省の人権人道課に学会で書面で質問する機会があったが、、その質問だけ飛ばされた。
 
 カナタチ氏は「国連特別報告者は友人のような立場だ。しかし、危険なことをして傷つきそうなときは警告を与える」と述べている。
 イギリスに対しても警告をした。法律を作る際に一部改訂した。しかし日本は違う。
 過去5回自由権規約の勧告を受けていたが、最終日に議長は「全然改善しようとしないため、資源の無駄遣いだ。日本は国際社会に対して反抗しているように見える」
 とまで言った。
 
 皆さんは自民党の本音を隠し撮りしたのを見たことがありますか?「憲法から基本的人権を削除します」と自民党改憲案作成者 礒崎陽輔氏は述べています。
 https://www.youtube.com/watch?v=1vRLZdVE3W0
 自民党改憲草案では表現の自由に大きな制限を加えている。
 デイビッド・ケイさんも、「憲法21条は誇りに思うべき。どんな小さな変更もダメ。草案のように広い制限をかけると国際人権法上の義務に反する」と述べている。
 拷問も現憲法では「絶対に禁止」と言っていて、拷問禁止条約でもきまっている。しかし草案では「絶対に」が取れている。
 憲法97条も消えている。
 ナチスはワイマール憲法に入っていた国家緊急権を乱用・悪用していった。
 一方自民党改憲草案では緊急事態条項が入っている。ワイマール憲法研究の権威は、国家緊急権にすごく似ていると警鐘を鳴らしている。
 改憲問題は9条ばかり言われるが、9条以外の条文もしっかり見ておかないといけない。
 
 自民党の人達は、「大事なのは皇室、国体だ」と言っていたが、実際に戦前の日本に戻そうとしている。小学校で道徳が正式の授業になり、とんでもないことが
 書かれていた。「犠牲の精神がわからない人は社会に出ても社会をよくすることは出来ない」自民党の本音が反映されている。
 
 国連特別報告者のデイビッド・ケイさんはドタキャンされたが、去年、居住の権利に関する特別報告者がドタキャンされた。震災後の仮設住宅の問題やホームレスなどのこと。いまだに日本に来れていない。
 
 デイビッド・ケイさんはドタキャンされた後に日本に来て、私はアテンドしたが、調査終了1か月後に、「日本政府がスパイを組織して、デイビッド・ケイさんとそのチーム、それを助けた個人をスパイしていた」というスクープが出た。私もそのリストに入っていた。
 国連は怒ったが、日本政府は「でっち上げ」だとして認めない。彼が来る前から、日本のメディアの独立性について海外メディアは取り上げてきた。前NHK会長は籾井さんで、安倍さんのお友達だからいいなりだと。
 本先生から紹介があった報道の自由度ランキングは相対的なもので、日本は5ランク上がっているが、これは、ほかの国のスコアが日本よりももっと下がったため、日本のランクが上がっただけのこと。日本のスコアは下がっており、状況が改善したわけではない。その理由の一つは福島や沖縄などセンシティブな情報を報道するジャーナリストに非常に激しいバッシングがあるから、と説明されている。
 ランキングは「国境なき記者団」が作っているが、戦場取材するキットが入口に置いてある。ジャーナリストは命がけの仕事。年間70人くらいは命を落としている。
 しかし日本のマスコミは紛争地に行かない。フリーのジャーナリストがシリアで現地取材しようとして殺害されたら「自己責任」と言われた。「日本政府に対して彼を救出せよ」という声があまり出ず、遺族まで叩かれたと留学生に説明したら大変びっくりされた。
 その後別のフリーのジャーナリストがシリアに行こうとしたら、日本政府はパスポートを取り上げた。留学生はまたびっくりした。
 フリーの人2人は外国人記者クラブで記者会見をし、外国人記者から「何でこんなことが起きるんだ」とまた言われている。
 
 メディアは本来どこにあるべきか。市民側か権力側か。学生に聞いたら80%は真ん中を指す。
 そうではない。市民側にたってパブリックウオッチする、権力を監視するのがメディアの役割だというと、非常にびっくりした顔で私を見るのでびっくりする。
 NHKの放送最後に君が代が流れるが、イギリスではやっていなく、国会議員がイギリスの国歌であるGod Save the Queenを流せといった。BBCは非常にパンクな歌詞の、セックスピストルズのGod Save the Queenを流した。
 日本では政府の圧力を感じて自主規制がなされている。メディアが「これちょっとヤバいかな」と思って言わなくなり、思考停止になっているのではないかと、デイビッド・ケイさんは述べている。
 森友問題は、海外では「ナショナリストの学校のためのえこひいきスキャンダル」とはっきり報道されている。
 トランプさんの娘のイバンカさんのスピーチがガラガラだったとも伝えている。アメリカではコメディのネタになっている。
 これら動画を日本の学生に見せると、慣れていないため反応に非常に困っている。大統領を笑うことは、アメリカでもイギリスでもやっている。
 一方、中国では習近平に似ているくまのプーさんの画像を全面的に禁止した。日本はどちらに近づいているのか。
 
 伊藤詩織さんは元TBSワシントン支局長だった山口という人にデートドラッグを入れられレイプされ、証拠もあったため逮捕状もでたが、警視庁の上の方からストップがかかってもみ消された。彼女はいろんな意味でブラックボックスを見た。本を出したがずいぶんバッシングを受けた。司法が機能していないという点はまだまだ追及が足りない。日本のマスコミはほとんど取り上げない。山口は安倍さんの本を出す寸前だったことが影響しているのでは無いかと言われている。BBCは何度もインタビューして載せている。私が主催するロンドンの学習会にも来て下さっている。
 
 最後に、今日はじめて来ていただいた方もいらっしゃるし、リピーターの人もいるでしょう。何とかしないと行けない、と思った方、何が出来るかを考えて欲しい。
 初級は学習会などに参加する。中級は知人・友人を誘って一緒に参加する。上級は学習会を自分で企画する。
 メディアに感想を言うことも出来る。視聴者の声を気にしているらしい。神戸大学では学生が主体となって私の講演会を企画している。
 これまでの活動はホームページに載っている。https://hyogen-tsutaeru.jimdo.com/
 今後も活動を続けるため、ぜひカンパをお願いします。

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↑講演を行う、藤田早苗さん

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↑挨拶を行う、秘密法と共謀罪に反対する愛知の会 共同代表の本秀紀教授

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↑自動字幕をつけるスマホアプリ「UDトーク」を用いて、講演内容がそのまま半自動的に字幕として表示されています。


by beshi50 | 2018-05-30 23:59 | お知らせ・報告など | Trackback | Comments(0)