秘密法と共謀罪に反対する愛知の会 6周年総会+記念講演会に200人
2018年 04月 08日
秘密法と共謀罪に反対する愛知の会は2018年4月8日に6周年総会と記念講演会を行い、200人が参加しました。
総会の後、内田博文さん(九州大学名誉教授 刑法)の「今こそ学ぼう 治安維持法と共謀罪」と題した講演会を聞きました。
まず、共同代表の本秀紀名古屋大学教授は「安倍政権は、公文書改ざん・隠蔽問題を官僚のせいにして逃げ切ろうとしている。佐川さんが1人でやったとお思いですか。口裏合わせ=共謀を政府のお偉いさんが行うとおとがめなし。国家の屋台骨が壊れてきている。第二次世界大戦直後、文書を焼いた。70年以上たつがほとんどそのメンタリティ。自衛隊の日報問題はそれに加えてシビリアンコントロールの問題もある。戦前に軍が暴走した反省をしていない。今回最良のゲストをお招きした」と挨拶しました。
・配付資料(内田博文先生レジュメ)
http://www.nagoya.ombudsman.jp/himitsu/180408-1.pdf

治安維持法ができた経緯とその拡大、事件をでっち上げてまででも適用されました。治安維持法のこれらの流れと、現在の秘密保護法・集団的自衛権の閣議決定・共謀罪の流れが非常に似ていて、過去よりスピードが速くなっているのではないかと内田先生は言います。
すでに、イスラム教徒監視事件・大垣警察市民監視事件・GPS捜査。別府署盗撮事件・名古屋新築マンション建設反対運動弾圧事件など様々なことが行われています。
戦前、治安維持法下で起こったことは、警察による監視だけでなく、国民による総合監視、「国と善良な市民」対「社会の敵」と言うべき「敵味方刑法」のようにパラダイムが転換されており、「社会の敵」については、基本的人権を尊重する必要はないという考えが近年も広がっています。
共謀罪に関しては、高級公務員、政治家、企業トップの犯す犯罪は骨を抜いてあり、共謀罪の対象にはなりません。
このような中、戦前と違うのは、市民は日本国憲法という武器を持っており、反対する権利が保障されていること。
デモをしたり、集会を開いたり、本を出したり、投書したりできます。
違憲立法審査権で共謀罪は違憲だという訴訟を起こすこともできます。
このような武器を十分活用すべきであり、日本国憲法のもと、民主主義、平和主義、基本的人権の尊重、そうしたされた国民がその担い手としての意欲と能力を持っているかどうかが試されている意欲・能力、そして勇気が必要だとしました。
続いて、原夏子さんが、父親の新村猛さんが治安維持法違反の容疑で逮捕・拘留された話をされました。

昭和12年に逮捕された際、私は4歳でした。
当時は母から「お父さんは病気で入院した」と言われましたが、実は、逮捕されていました。
学問と思想の自由を守らなければならないという志を持っていた、33歳の大学予科教授の父が、フランスやスペインにおける反ファシズムの運動を日本の知識人と学生に知らせるため雑誌を作っていたところ、仲間達3人同時に検挙されました。
検察は「この活動はコミンテルンによる指令で日本共産党の指令によるものだろう」と、ずっと聞かれ続け、ずっとずっと否認し続けました。
大学からは辞任するよう言われ、妻と子供が祖父の家に厄介になっているためしぶしぶ辞職願いを書いたとのことです。
その後も、「共産主義者と認めた上で転向しろ」と言われ続けたけれども、6歳になった私からのカタカナのハガキを見てみて。「子供に早く会いたい家に帰りたい」という気持ちで転向の手記を書いた。そうしないと、検事がうんと言ってくれない。と言いました。
手記を書いても、「共産党らしくない」と言われ、何回も書き直されました。
拘留期間が1年10か月。その後、保護観察付きの生活は終戦まで続いた。父が外出するときはちゃんと刑事さんが私服でついてきたと母から聞いています。
祖父は父がやったとは信じてませんでしたがきちんと上申書を書いて、「どうか処遇を」という内容でした。
私のすぐ下の弟は、学校で凄まじくいじめられたことを後から知りました。
父が治安維持法で逮捕されたため、「国賊」だとしていじめ抜かれ、先生も見過ごすだけでなく、試験に間違って低い点をつけるなどをしました。
治安維持法の家族に対する一つの被害の例だと思います。
最後に中谷雄二共同代表は「今後何が起こるかは分からないが、歴史を見て照らし出すことはできる。新村猛先生を以前知っているが、まったくそんな人ではない。権力はでっちあげた。
内田先生は『我々に武器がある間に戦おう』と呼びかけられた。その呼びかけに応えたい。
もう私たちは騙されたとはいえない。
様々な手段で戦い続けることを決意して終わりたい」と述べました。



↑最初に挨拶する、本秀紀名古屋大学教授

↑今回、聴覚障害者に対する初の試みとして、スマホアプリ「UDトーク」によるリアルタイム字幕をつけました。若干字の間違いはありましたが、3人が訂正してほぼ正しく字幕をつけることが出来ました。