第2回連続学習会 憲法から迫る共謀罪の本質(名古屋)に120人
2017年 05月 25日
「秘密法と共謀罪に反対する愛知の会」は、17/5/25に第2回連続学習会 憲法から迫る共謀罪の本質を行い、120人が参加しました。
会場は満員でした。
・配付資料(本先生レジュメ)
http://www.nagoya.ombudsman.jp/himitsu/170525.pdf
大垣市上石津町に住む松島さんは地区で風車建設計画があることを知り、低周波被害などの勉強会を行っただけで、警察が業者に松島さんらの個人情報を提供し、『平穏な大垣市を維持したいので協力をお願いする』と言っていたことが朝日新聞スクープで判明しました。
実は警察は私のことを30年近く監視していた事も判明しました。
私は真宗大谷派の僧侶です。阿弥陀仏は無三悪趣の(地獄・餓鬼・畜生の無い)世界を説いておられます。畜生とは管理・監視され、主体を奪われること。監視のない社会を目指して裁判を闘っていきたいです。

同じく近藤ゆり子さんも思いを話しました。
警察が身辺調査しているというのは、「そういうこともありそうだ」とは思っていたが、そっとやっているものだと思っていた。しかし、警察庁が「通常の警察業務だ」と文書で回答してきたので、「もの言う自由を守る会」を作った。ともにもの言う自由を守りたい。

本秀紀さん(名古屋大教授(憲法))は、「憲法から見た『共謀罪のある社会』」を話しました。
プライバシーとは自律のための権利であること、大垣市の事例は、「単に秘匿したい情報を調査されたこと」だけではなく、「警察に勝手に情報を集められること」に抗議していること。特に「異論を唱える自由」が重要であること。
選挙など制度的公共圏が劣化し、国民の意思が政治に反映されない中、デモや集会などの非制度的公共圏という場が盛り上がり、野党共闘など選挙などにも影響を与えている。
共謀罪は行為の前の考えの段階でコミュニケーションを処罰することになり、再び「戦争する国」への(重要な)ワンピースとなってしまう。
最後に、共同代表の中谷雄二弁護士は、「共謀罪がまだ成立していない現在、萎縮の先取りをしてはいけない。5/27(土)弁護士会でデモを企画しているので是非参加して欲しい。5/29(月)は治安維持法と共謀罪について学ぶ。今の憲法を武器にして闘おう」と述べました。

・5/27(土)13:30- 共謀罪の廃案を求める集会・パレード(名古屋市栄 エンゼル広場)
https://www.aiben.jp/about/katsudou/himitsuhozen/news/2017/05/527.html
・5/29(月)18:30- 治安維持法から迫る共謀罪の本質(ウィルあいち大会議室)
http://www.nagoya.ombudsman.jp/himitsu/renzoku2017-1.pdf
・今後の予定(東海3県)
http://www.nagoya.ombudsman.jp/himitsu/170526.pdf
以下本秀紀さん講演の報告です。
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<はじめに>
現在進められている戦争する国つくりの1ピースとして、安倍政治全体の中での共謀罪の役割は、憲法を変えるのを除けば、最後の重大な1ピースとなる。
共謀罪の本質
・犯罪行為の前に、考えの段階でコミュニケーションを処罰
・「一般人」は捜査対象となった時点で、「一般人」でなくなる。
・計画段階で処罰する為、日常的に監視し情報収集する。
維新のGPS捜査立法化案は、共謀罪捜査の為に新法をつくって、正々堂々とやれるようにするもの。
・共謀罪反対の声を広げていこうとする時、長い目で見ると一般市民が憲法の基本的事項を理解していることが重要。
1.立憲主義というコンセプト
<1> 国家の存在意義と憲法
考え方も違えば感じ方も違う。それぞれが、かけがえのない存在である個人から出発。個人が生まれながらに持っている権利である人権を保障する為、社会契約という考え方で国家・政府がある。しかし権力を持つと濫用、権限拡大への衝動が起きる。人権を保障した権力行使を行うようにコントロールする役割、時の権力者たちに左右されない基本的ツールとして憲法がある。
<2> 国家権力に対する「立法的統制」の諸アイテム
〇民主的統制として行政が暴走しないよう国民代表機関としての議会と国民による様々な運動。
〇専門的統制として裁判所、内閣法制局、審議会、メディアなどと権力担当者の自制
・数があるなら何でもやっていいのではない。
・公文書はきちんと管理し何年か経ったら必ず情報公開する。きちんと説明責任を果たす。
・時間がきたから打ち切ることは議会本来の役割を壊す。
・自制が効かない政権が登場した時、アメリカは自由と民主主義を守る仕組みがあったことがわかった。(特定の国の人の入国差し止めを裁判所が阻む。ロシアが大統領選挙に介入した疑惑をメディアや独立検察官が追及するなど)
・大日本帝国、ナチスドイツは統制が効かなかった。その結果、権力が集中。
〇安倍政治の特徴は選挙に勝ったら何をやってもいいと思っていること。
・内閣法制局、裁判所の専門的統制は? 審議会は首相のやることにお墨付きを与えるところになっている。メディアは大本営発表化している。(加計学園問題で頑張っているメディアもある)
・首相とそのお友達が考えることが、この国の考え。これに従わないのは非国民だ。
・個人の尊重から出発している日本国憲法と全面的に衝突。憲法そのものを変えなくても、悪法を積み重ねて解釈を変えてきた。その最後のピースが共謀罪。安倍首相の在任中に明文改憲へ、と踏み出した。
⒉日本国憲法が想定する社会
<1> 全体構想の中核的価値は個人の(尊厳)の尊重。安倍政治と反対の方向。
<2> プライバシーの権利
13条の幸福追求権(自分らしく自分の考える幸福を追求する権利)には、プライバシーの権利保障が含まれる。警察が日常的な監視で個人情報を勝手に集め、それをつなぎあわせて勝手なイメージをつくりあげ企業に情報提供した大垣事件は重大なプライバシーの侵害だある。個人には自分の何を伝えるかを決定する権利がある。
<3> 表現の自由
表現の自由は民主主義社会の根幹をなす重要な権利。知る権利と自由なコミュニケーションは十分に保障されなければならない。大垣事件は、監視・情報収集・漏洩による「萎縮効果」と警察による市民どうしがつながりあう権利の否定。自由な市民活動(市民による表現の自由)の制約。
3民主主義の観点から―「公共圏」という視角
・選挙によって国民代表を選ぶ制度的公共圏に国民の意思が反映されていない。
・デモ、集会、街頭宣伝などの非制度的公共圏でプレッシャーを与えて、制度的な公共圏に反映させる。
・非制度的公共圏を活性化させ制度的な公共圏にも連動させることが重要。市民と野党との共闘のような今までにないことが起きている。異なった個人である市民が、様々な場で声をあげていこう!

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2017.5.27 中日新聞 岐阜県版
