「筋トレゼミ」報告―新聞はまだまだ生きている
2016年 08月 04日
以下、秘密保全法に反対する愛知の会 事務局長の濵嶌将周弁護士の報告です。
次回筋トレゼミ シーズンIII 「表現の自由とメディア」第2回「テレビはこの参院選をどう報道したか?」は、
8月31日(水) 午後6時30分~ @名古屋第一法律事務所 の予定です。
テレビ局の現役の方に来ていただけることになっています。
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「筋トレゼミ」報告―新聞はまだまだ生きている
事務局長 弁護士 濵嶌将周
講演を聴く一方でなく、参加者が自分の頭で考え、意見を交わす、ゼミ形式の頭脳の〝筋トレ〟をしよう、と昨年から始まった「筋トレゼミ」。その新たな3回シリーズのテーマは「表現の自由とメディア」、その1回目が「新聞はこの参院選をどう報道したか?」として、某全国紙のH記者を話題提供者にお迎えして、行われました。
H記者からの話題提供:①某紙では、今回の参院選は「改憲勢力が3分の2に達するか」が争点だという意識で紙面づくりをした。②社説は論説委員たちが議論してテーマを選定し、方向性を決定するところ、論説委員たちの考え方はさまざまなので、内容は中庸にならざるを得ない。③シリーズで憲法問題など選挙の争点にかかわる記事を連載したが、総じて現政権に厳しい目を向ける内容だった。④選挙情勢を伝える記事については、掲載自体に批判もあるが、世論調査と取材によってほぼ選挙結果と相違ない情勢分析ができるようになっている。⑤投開票の記事については、速報性と正確性で各社が競争になっている。⑥野党共闘については、公示前と選挙後に、東海3県における分析記事を掲載した。⑦日本ではとくに公示後に「公平性」が求められ、現場でも配慮されている。⑧官邸からの圧力については、少なくとも現場では「ない」。
その後は、意見交換というより、H記者との質疑応答となりました。その中で、H記者が、少なくとも某紙については、官邸からの圧力はない、と重ねて明言されたのは心強い限りです。ただ、広告収入との関係で企業からの圧力はあるかもしれない、とのことですし、記者が一番気にするのは一般読者からの声で、最近では右派側が組織化して「読者」からの声を上げていて、それが現場に影響しているかもしれない、とのことでした。また、記者としては、少数者の意見や状況を伝えるのが新聞だという気概があるものの、読者が求める記事も書かざるを得ないという実態もある、とのことでした。
H記者のお話を聞く限り、新聞はまだまだ生きています。頑張っている記者、新聞社を応援して、私たち市民の側に居続けてもらいましょう。
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