カウンターインテリジェンス情報公開訴訟 逆転敗訴 大阪高裁
2016年 07月 04日
http://www.nagoya.ombudsman.jp/himitsu/160629.pdf
1審大阪地裁は15/7/9に以下3つの開示を命じました。
・秘密取扱者適格性確認制度の「クリアランス手続を行う際の配意事項」として
まとめられた(ア)ないし(エ)の4項目のうちの1つ((イ)の項目)
・「政府統一基準」中の「カウンターインテリジェンスに関する情報の収集・共有」の「調査等」
・「カウンターインテリジェンス・センター」中の「業務」の中のカウンターインテリジェンス・センターが行うカウンターインテリジェンスの業務としての10項目の業務のうちの1つ
http://www.ombudsman.jp/data/150709.pdf
大阪高裁は、「情報公開法5条3号が定める不開示情報に当たるかどうかが不開示決定の取消訴訟で争われる場合には、行政機関の長は、不開示決定に係る行政文書を保有し、その内容を把握している上、国の安全が害されるおそれ、他国等との信頼関係が損なわれるおそれ又は他国等との交渉上不利益を被るおそれを基礎付ける情報を保有しているのであるから、国(1審被告)において、まず、それらの事実を、当該行政文書の具体的な内容を明らかにすることなく主張立証すべきであり、それに対する開示請求者(1審原告)の主張立証を併せて考慮して、裁判所は、行政機関の長の判断が合理的なものとして許容される範囲内であるかどうかを判断し、行政機関の長の判断が社会通念上合理的なものとして許容される限度を超えると認められる場合には、裁量権の範囲の逸脱又は濫用があったものとして違法であるとの判断をすべきことになる」と述べました。
そのうえで、「1審被告は、不開示決定に係る行政文書の内容、国の安全が害されるおそれ、他国等との信頼関係が損なわれるおそれ又は他国等との交渉上不利益を被るおそれを基礎づける事実を、当該行政文書の具体的な内容を明らかにすることなく主張立証すべきであるが、同号該当性の判断には行政機関の長に一定の裁量が認められるのであり、行政機関の長が同号に該当するとして不開示決定をした場合には、
裁判所は、当該行政文書に同号に規定する不開示情報が記録されているか否かについての行政機関の長の第一次的な判断を尊重し、その判断が合理的なものとして許容される範囲内であるかどうかを審理判断すべきことからすると、1審被告は、裁量権の範囲の逸脱又は濫用がないことを明らかにし、裁量権の範囲の逸脱又は濫用があることが事実上推認されない程度に主張立証する必要はあるが、それを超えてまで主張立証する必要はない。したがって、1審被告が上記で主張しているような主張立証までする必要があるとは解されない。」とし、いずれも情報公開法5条3号に該当すると認められるとしました。
原告の弁護士は上告する方針です。
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15/7/9 「カウンターインテリジェンス機能の強化に関する基本方針」情報公開訴訟
ごく一部のみ開示命令 大阪地裁
http://www.ombudsman.jp/data/150709.pdf
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・「カウンターインテリジェンス機能の強化に関する基本方針」とは?
政府が平成19年8月9日に策定。
これにもとづき「秘密取扱者適格性確認制度」が導入された。上記確認制度は秘密保全法制における適性評価制度を事実上、先取りしたもの。
概要は以下内閣官房ページに記載。
http://www.cas.go.jp/jp/seisaku/counterintelligence/pdf/basic_decision_summary.pdf
http://www.cas.go.jp/jp/seisaku/counterintelligence/index.html
