秘密保護法情報公開訴訟通信(12)9月3日の弁論準備期日のご報告
2014年 09月 03日
「秘密保全法情報公開訴訟通信(12)9月3日の弁論準備期日のご報告」を
発表しました。
http://www.jkcc.gr.jp/data/140903.pdf
http://www.jkcc.gr.jp/menu6.html#140903
2014年9月3日
支援者の皆様 各位
原告情報公開市民センター
理事長 新海 聡
(連絡先: 0564-83-6151)
秘密保護法情報公開訴訟通信(12)
〜9月3日の弁論準備期日のご報告〜
1 2014年9月3日午前11時〜名古屋地方裁判所民事9部で行われた進行協議期日について報告します。
2 本日最終弁論で結審、となる予定でした。一方相手方はこの間、不開示処分の見直しをし、69枚の文書のうち45枚を公開し、さらにそれとあわせるように、8月27日付けの上申書で、残りの24枚について、今まで5号(政策形成過程の情報)に該当するとして不開示としてきた20枚の文書について、3号(防衛外交情報)に該当する、という主張の差し替えを検討したい、としてきました。これまでは3号に該当するとしてきた文書は4枚だけで、残りは5号、6号に該当する、として主張を整理してきたテーブルをひっくり返すわけです。
3 行政事件訴訟法的には3号(防衛・外交情報)を追加あるいは3号に差し替えることは情報公開訴訟では許される、というのが確定した最高裁判例です(時期に遅れた主張、という民事訴訟法上の問題はありますが。)。そうなると、法的にはこれを受け入れざるを得ない、というのが実際です。
そこで、国が上申書で主張の追加期限として約束した9月24日までに書面を提出することを遵守させるとともに、それを前提として10月1日午後4時〜今後の攻防についての進行協議を行うことになりました。
4 さて、今回国が3号(防衛・外交情報)に理由を差し替えたい、と述べたことをどう見るか。訴訟の攻防という点から見れば、5号は「おそれ」を不開示要件とするに対して、3号は「おそれがあると行政機関の長が認めることにつき相当の理由があること」を不開示要件としています。情報を不開示としたい国側にとっては、5号に比べて3号によるほうが圧倒的に不開示事由の主張、立証が容易になる、ということになります。
しかし、秘密保護法の施行を念頭においたとき、国の対応は、訴訟の攻防だけでなく、より重大な問題を提起するように思います。秘密保護法の立法経過において、外国から取得した情報を特定秘密の要件とすることについて内閣法制局と外務省とで意見対立があったことは報道されています。外務省には「外国から得た情報は皆国民の目に触れさせないようにしたい」という意識が常にあると見えます。そして、今回の不開示事由の5号から3号への「乗り換え」も、秘密保護法の施行準備段階での政府部内の「外国から入手した情報の特定秘密指定」の議論の影響を受けたものといえるのでは。乱暴にいえば、「外国から得た情報は3号で皆不開示、そのうちいくつかは特定秘密指定」という発想の枠組みが政府内にできてしまっている、ということではないでしょうか。
これは、おそらく、もっとも早い時期に現れた、秘密保護法の情報公開制度に対する悪影響に他なりません。
5 秘密保護法の施行で注意しなければならないのは、本来公開されなければならない情報が「外交情報」「公安情報」といった衣を着せられて不開示とされ、市民に情報を公開しない運用が拡大することです。この訴訟では、国は不開示事由を3号に差し替えるか、3号を追加してくるかは今のところわかりませんが、いずれにしても、秘密保護法の悪影響と思わざるを得ない理由の差し替えによって、不開示処分の取消が遠のくことを阻止することが、この訴訟のテーマになってきたわけです。責任重大、がんばらねば!
(了)
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NPO法人 情報公開市民センター 秘密保護法特設ページ
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