岐阜県警による市民団体監視・漏えいに対して抗議声明発表
2014年 07月 29日
監視ならびに中部電力子会社への情報漏えいに抗議し、2014/7/29に以下声明を発表しました。
http://nagoya.ombudsman.jp/himitsu/140729.pdf
この声明は、内閣総理大臣、警察庁、岐阜県警、岐阜県公安委員会、衆参両議長あてに
送付する予定です。
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市民監視と市民運動敵視の企業への情報提供を即時中止し、
秘密保護法を廃止せよ
2014年7月29日
秘密保全法に反対する愛知の会
共同代表 本 秀紀
同 中谷雄二
〒460-0002 名古屋市中区丸の内3-7-9
チサンマンション丸の内第2 303
名古屋市民オンブズマン 気付
TEL:052-953-8052 FAX:052-953-8050
私たち「秘密保全法に反対する愛知の会」は、2012年4月に結成して以来、秘密保全法制の制定に反対してきました。昨年12月6日の秘密保護法の制定前から今日まで秘密保護法の制定反対、秘密保護法廃止を訴えて、愛知県を中心に各地で学習会を開き、街頭宣伝を行い、名古屋市内で数千人規模の大集会やデモを主催してきました。私たちが、秘密保護法に反対する主要な理由は、この法律が主権者国民の知る権利を侵害し、国の重要情報を国民に隠し、他方、市民を治安維持の目的で監視対象にするという点にあります。この法律がこのまま施行されることになると、その濫用により、人権が侵害されるおそれがあると指摘しつづけてきたのです。
2014年7月24日、朝日新聞名古屋本社版1面トップ記事で、岐阜県警(大垣警察署)が中部電力子会社(シーテック)に対して、シーテックが進めようとしている風力発電事業に反対している住民及び反対運動に結びつきそうな個人や法律事務所の名前を挙げて、「反対運動をさせない」方向で情報提供していることが報道されました。岐阜県警は、個人の氏名、経歴、病気などのプライバシー情報を収集した上で、中部電力の子会社に提供していました。本来、犯罪の捜査と取り締まりを通じて市民の安全を守るはずの警察が、犯罪には全く関わりのない市民を監視し、得た情報を、私企業に、その私企業の事業への反対運動をさせない、潰す、という目的をもって提供したことに憤りを禁じ得ません。ここで報じられた市民の1人は私たちの会の会員であり、結成以来、秘密保護法に反対して積極的に活動してきたメンバーです。
本来、市民が社会的な問題に関心を持ち、自らの意思を表明することは表現の自由で保障された基本的人権です。集会を開催し、デモを行うことが憲法上の基本的人権であることは疑う余地がありません。日本国憲法の下で、市民の権利行使を敵視し、市民の個人情報を詳細に調査し、プライバシー情報を本人の同意なく、企業に提供することは、「責務の遂行に当つては、不偏不党且つ公平中正を旨とし、いやしくも日本国憲法の保障する個人の権利及び自由の干渉にわたる等その権限を濫用することがあつてはならない。」(警察法2条2項)と定める警察として絶対にあってはならないことです。
今回の岐阜県警の行った情報収集活動及び特定企業への情報提供行為は、「不偏不党且つ公平中正」な行為ではありません。明らかに市民運動を敵視したもので、一私企業の利益を図る目的による行為であって、日本国憲法及び警察法に違反し許される行為ではありません。報じられた記事によれば、市民のプライバシー情報を本人の同意なく密かに収集しており、それ自体、憲法13条により保障された人格権を侵害するものです。しかも、この情報は、市民の憲法上保障された活動を、具体的な危険などないのに危険視し、治安の維持を理由に企業に提供されています。これは思想・表現の自由に対する弾圧です。そして、行政機関個人情報保護法によれば、行政機関は法令の定める所掌事務遂行に必要な場合に限り個人の情報の保有が認められ、利用目的も特定されねばなりません。今回、岐阜県警が個人情報を提供した行為は、その必要性もなく、特定された利用目的に沿って利用されたものでもないことは明らかです。今回の事件は、自衛隊員の秘密漏洩を防止するために設けられた自衛隊情報保全隊が、自衛隊のイラク派遣に反対する市民を監視し、人格権を侵害するものとして仙台地方裁判所において違法と判断された情報保全隊事件(2012年3月26日仙台地裁判決)と共通する国家権力による市民監視行為であり、その情報を私企業に提供するという点できわめて悪質な行為といわなければなりません。
この事件は私たちが指摘してきた、秘密保護法による国民監視の濫用によって市民の権利が侵害されるという事態が、いままさに進行していること、それが企業の側に立ち市民を敵視する警備公安警察によって行われていることを明るみにだしました。そして、このような企業と警察との情報交換が日常的に行われていることも企業側のコメントによって明らかになりました。
この事件は、国家による国民監視を進め、市民の自由を萎縮させる秘密保護法が施行されてはならないことを示したものです。
私たちは、市民運動を敵視し市民を監視する活動を直ちに止めるよう警察に要求します。そして、「不偏不党かつ公平中正」に反する企業との情報交換を即時に中止するよう要求します。このような市民敵視の警備公安警察の市民監視を一層、横行させかねない秘密保護法が廃止されるべき法律であることを強く訴え、この国に暮らす多くの人々が声を上げることを訴えるものです。
以上
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