5/11(日)13時半- 講演会「秘密保護法と国際人権基準(ツワネ原則)」(名古屋)
2014年 05月 11日
2014/5/11(日)13時半~16時半まで講演会「秘密保護法と
国際人権基準・ツワネ原則」を行い、200名の参加がありました。
ネットでも動画が見ることができます。
・あいさつ+国際人権基準説明+ハルペリン氏講演1
http://www.ustream.tv/recorded/47400281
・ハルペリン氏講演2http://www.ustream.tv/recorded/47401505
・質疑応答http://www.ustream.tv/recorded/47403896
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ハルペリン氏講演の概要
特定秘密保護法が国際基準から逸脱していることについて話したい。
言論の自由・表現の自由の問題は、かつては個人の意見に関する問題として考えられてきたが、いまでは、政府が持つ情報に一般市民がどれだけアクセスできるかという問題として考えられるようになった。国際人権規約の自由権規約19条はこのことを言っており、ヨーロッパやラテンアメリカで多くの支持を得ているし、各国の最高裁判所もそれに賛同している。また、世界の市民たちもこれを発展させようとしている。
オープン・ガバメント・プログラム(OGP)は、政府はオープンでなければならないということを掲げ、開かれた国々の政府が集まって情報を交換することを提唱している。多くの民主主義国家がOGPに参加しているが、日本は参加していない。日本政府がOGPに加わるように働きかけてもらいたい。OGPのアクションプランの基本は市民の自由・市民の活動であり、各国の市民が置かれている状況(市民の自由度)をチェックする。OGPに加われば、政府は市民の自由がどのように評価されるかを気にせざるを得なくなる。OGPの観点も含めて、秘密保護法に反対する運動をすすめてほしい。
開かれた政府は、国家の安全保障についてもオープンでなければならない。開かれた政府にとって一番重要なこととは、市民に大きな影響を与える安保情報をオープンにすることである。しかし、どの国も安保情報を秘匿しようとする傾向がある。その場合、秘匿する期間などの明確な基準や内部告発の保証が必要であり、ジャーナリスト・民間人が安心して安保情報に接することができるように保証しなければならない。
しかし、不適切な基準を見てきた。政府が何を秘密にするかということを監視していかなければならない。たとえば、小笠原諸島の返還にまつわる例がある。1966年に沖縄問題に関わった際、小笠原諸島の問題も出てきた。その時、不適切な基準によって情報が隠された。小笠原諸島の住民は全員が移住させられていて誰も住んでいないということだったが、「日本人は小笠原に上陸してはならない」とされ、島民がなぜ島に帰れないかという理由は秘密にされていた。海軍担当者に連絡をとったところ、上陸させないという政策があるからだという説明だったので、さらに理由を聞くと、「あまりにデリケートな問題なので言えないが、島にアメリカの秘密の基地があるから」、「基地があることを国務省に知られたくない」という回答だった。しかし、実際には島に基地はなかったことが明らかになり、小笠原諸島を返還することになった。海軍は本当のことを言わなければならなかったし、日本政府も、小笠原諸島の重要性を軍事的側面からしか見ていなかったのではないか。民主主義社会において情報を秘密にしておくのは適切ではない。
特定秘密保護法の制定過程に問題がある。「このような法律がなければ、外国から情報を得られない」と言って制定された法律はツワネ原則から逸脱している。
日本政府のスポークスマンは「ツワネ原則を考慮しなかった」と言ったが、このことは国際的にはずれている。ツワネ原則は自由権規約19条を具体化したものである。各国の政府は、ツワネ原則が存在する以上、特定秘密保護法のような法律を作る時には市民と対話しなければならない。もし政府が基準を満たさないのであれば、その理由を示さなければならないし、専門家の意見も聞かなければいけない。
民主的社会・民主的政府は秘密に関する法律を作る時には時間をかけなければならない。他国の事例やツワネ原則を参考にすべきである。例えば、南アフリカの場合、秘密法を作ろうとした当初は日本のものよりも悪かったが、数年の時間をかけて多くの公聴会を開いたり、国内外の専門家と話し合ったりして何回も修正した。また、アメリカで数年前に情報機関に在籍する者の個人情報を保護する法律が作られたが、3〜4年かかった。その結果作られた法律は市民団体からも支持された。日本の政府は市民の意見を聞かなかったことに欠陥がある。
「この法律がなければ、外国から情報を得られない」という説明は間違っている。1966年からアメリカ政府の中にいて日米関係の問題にコミットしてきた。機密情報を日本政府に渡したこともある。「この法律がなければ……」ということはあり得ない。ブッシュ政権下で核政策に関わったことがある。核政策について日米で情報を共有しようという提案がなされ、たしかに、日本には秘密保護法がないからと難色を示す人もいたにはいたが、その後オバマ政権になって、国防総省の担当官が「協力することだ」と言って、日本に情報を渡した。対アジア政策で日本の協力が必要であったから情報を渡したのであって、秘密保護法がないから情報を与えないということはあり得ない。
昨日、収監された元新聞記者(西山氏)と対談したが、日本にはすでに秘密を守るための法律がある。そのうえにさらなる法律は必要ない。
アメリカの同盟国の中で、日本の特定秘密保護法ほど厳しい法律を持っている国はない。日本以外のどの国も民間人に対する罰則はなく、内部告発を保護している。日本の特定秘密保護法よりもゆるやかな法律を持つ国々ともアメリカは情報を交換しているのであって、日本政府の国民への説明は間違っている。
日本の特定秘密保護法はツワネ原則を次のような点で逸脱している。
ジャーナリスト・民間人に対する刑事罰があること。「限られた場合」はあいまいで、政府の恣意が入りやすく、ジャーナリスト・民間人は恐れを、持たざるを得ない。ツワネ原則はこれを否定しており、ジャーナリスト・民間人を処罰してはならないといしている。アメリカにはスパイ法があるが、それによってジャーナリストが訴追されたことはない。
公務員に対する処罰規定があること。刑事罰ではなく行政措置によって対処できる。ツワネ原則でも刑事罰を認めてはいるとはいえ、日本の法律は民間人・公務員ともに厳しく対処している。ツワネ原則では、すべての安保情報に対して刑事罰を科してはならないとし、重要なものだけを秘密にすることを認め、カテゴリーごとに法律を作ることを提案している。
内部告発者をどのように保護するか。恐れることなく情報を公開できるかどうか、情報を一般に公開することが公益にかなっているかどうかがツワネ原則では重要である。公開した者が起訴された場合、裁判は公開でなければならず、その裁判において政府は情報の公開が公益に反することを証明しなければならない。
どのように機密を指定するかという点。パラグラフごとに検証しなければならならず、どのカテゴリーで害が出るかを明確にしなければならない。特定秘密保護法にはこの規定はなく漠然としている。
秘密解除の問題。いつ解除するか、アメリカの場合は明確であるが、日本の場合は明らかではない。ツワネ原則では、あるカテゴリーについては要請がなくても政府は明らかにしなければならない。国民の健康に必要なことや拷問に関することなどは秘匿してはならないとしている。
ツワネ原則を踏まえて秘密保護法反対運動をしていただきたい。
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↑主催者あいさつを行う、阿部太郎・名古屋学院大教授

↑愛知県弁護士会としての協賛団体挨拶を行った後、
秘密保護法法令制定時の情報公開請求を行った際の説明をする、新海聡弁護士
(NPO法人 情報公開市民センター)

↑国際人権基準、ツワネ原則、国連人権理事会等の説明を行う、矢崎暁子弁護士
(秘密保全法に反対する愛知の会)

↑講演を行う、モートン・ハルペリン氏

↑秘密保全法に反対する愛知の会 国際情報部会の活動を説明する、酒井健次氏

↑会場からの質問に回答するハルペリン氏(左)

↑共催者あいさつを行う、浜島将周弁護士(秘密保全法に反対する愛知の会)

↑あいさつを行う、近藤昭一・衆院議員

↑講演会には200名が参加しました。
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14/5/12 中日新聞
秘密保護法の問題点を指摘 元米政府高官講演


2014年05月14日 毎日新聞
Listening:<そこが聞きたい>秘密保護法と向き合う モートン・ハルペリン氏
◇国際原則への適合を−−元米国家安全保障会議(NSC)高官、モートン・ハルペリン氏
http://mainichi.jp/journalism/listening/news/20140514org00m010006000c.html
毎日新聞 2014年05月12日 東京朝刊
時流・底流:秘密保護法廃止デモ 立ち上がった普通の学生たち
http://mainichi.jp/shimen/news/20140512ddm004070074000c.html
毎日新聞 2014年05月12日 東京朝刊
官庁・公共機関:事実上の圧力 意に沿わぬ報道に「見解」や「反論」
http://mainichi.jp/shimen/news/20140512ddm004040077000c.html
2014年5月15日10時32分 朝日新聞 奥村智司
沖縄の米軍基地「多すぎる」 返還時の米高官が批判
http://www.asahi.com/articles/ASG5G5R2HG5GTIPE021.html

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5/11(日)13時半- 講演会「秘密保護法と国際人権基準・ツワネ原則」(名古屋)
日時 5月11日(日)13時30分~16時30分
場所 名古屋学院大学白鳥学舎翼館 クラインホール
http://www.ngu.jp/outline/access.html
名古屋市熱田区西町1-25
名古屋市営地下鉄名港線 日比野駅 徒歩8分
名古屋市営地下鉄名城線 西高蔵 徒歩8分
会費 1000 円 事前申し込み不要(逐次通訳あり)
主 催: 名古屋学院大学平和学研究会
共催 : 秘密保全法に反対する愛知の会 http://nohimityu.exblog.jp/
協賛 : 愛知県弁護士会
電話 052-953-8052
チラシ http://nagoya.ombudsman.jp/himitsu/140511.pdf
ネット中継あり http://www.ustream.tv/channel/iwj-aichi1
13:00- 開場
13:30- 開会のあいさつ 阿部太郎 名古屋学院大学平和学研究会
新海聡 弁護士 愛知県弁護士会秘密保全法制対策本部
13:40- 自由権規約とツワネ原則 矢﨑暁子 弁護士 秘密保全法に反対する愛知の会
13:45- 講演「秘密保護法と国際人権基準(ツワネ原則)」
講師 モートン・ハルペリン氏 Morton H. Halperin
15:25- 2014年7月 国連人権理事会自由権規約日本審査に向けて
秘密保全法に反対する愛知の会 国際情報部会
15:30- 休憩
15:50- 質疑
16:20- 閉会のあいさつ 濵嶌将周 弁護士 秘密保全法に反対する愛知の会事務局長
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講師のハルペリン氏は、元アメリカ政府高官で、沖縄核密約に
アメリカ側で関わった経験をお持ちです。
実際に機密を扱っていたハルペリン氏の体験に基づき、
「これまで秘密保護法がなくても安全保障交渉に支障はなかった。
日本の秘密保護法は不要だ。」
「秘密指定のチェック機関が重要」と発言されています。
マスコミの注目度も高く、講演内容もたいへん刺激的です。
国際人権基準やツワネ原則を知らなくても、まず簡単な説明をしてから
講演いただきます(逐次通訳有り)ので、どなたでも参加可能です。
各マスコミでも事前報道いただいております。
ぜひご参加ください。
