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特定秘密保護法に反対するため、弁護士や市民が「秘密法と共謀罪に反対する愛知の会」を結成しました。各地のイベント、最新ニュースも載せます。集団的自衛権にも反対です。https://www.facebook.com/nohimityu


by beshi50
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秘密保護法案の問題性を隠蔽するための不開示 -漏えい罪の刑事裁判の議論の混迷と隠蔽-

情報公開市民センター 理事長の新海聡弁護士は、
情報公開請求で開示された、「H23.11.4 補佐級説明会 
議事要旨」を元に、「法案の問題性を隠蔽するための
不開示 -漏えい罪の刑事裁判の議論の混迷と隠蔽-」を
2013/12/20に発表しました。
http://www.jkcc.gr.jp/data/131220.pdf

・H23.11.4 補佐級説明会 議事要旨(開示部分を赤枠で囲んだもの)
http://www.ombudsman.jp/data/H23-11-4.pdf

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法案の問題性を隠蔽するための不開示
〜漏えい罪の刑事裁判の議論の混迷と隠蔽〜

情報公開市民センター 理事長  新海 聡

1 特定秘密を漏えいした場合の漏えい罪の刑事裁判はどう行われるのか。これをテーマとして一昨年11月4日に行われた補佐級の説明会の議事要旨が開示された。それは、立法の拙速を裏付けるだけでなく、世論喚起を恐れるために情報を不開示とした政府の姿勢を浮き彫りにした。
2 検察官が漏えい罪の有罪を刑事裁判で立証するためには、被告人が漏えいした情報が特定秘密に該当することを証明しないといけない。このためには、検察官が、当該情報は特定秘密に指定されている、と裁判で主張するだけでは足りない。これだけでは検察官の考えを述べているにすぎないからだ。そこで検察官は、情報の内容を具体的に明らかにしないで、当該情報が特定秘密に指定されたプロセスだけを証明することを試みる。いわゆる「外形立証」の手法である。ところが、そのプロセスを検察官が証明したとしても、それだけでは有罪とできない。国家公務員法の「秘密」について、秘密漏えい罪で処罰するためには、実質的に秘密として保護に値するものでなければならない、とするのが西山事件で示された最高裁の判断だからだ。要するに、当該情報が実質的に秘密として保護する場合にだけ、処罰に値する、としているのだ。したがって、国家公務員法のこの判断を特定秘密保護法にも適用するとすれば、当該秘密の内容を裁判所が審理することが前提となる。秘密漏えい罪の刑事裁判では、被告人を処罰しようとすれば、特定秘密の内容を公開の法廷で明らかにしなければならず、秘密を守ろうとすれば、有罪にすることを諦めなければならない、というジレンマを含んでいる。この点に関する国会での政府の答弁は「外形立証で可能である」というものでしかなかった。では立法過程ではどのような議論がなされていたのだろうか。それを示したのが今回開示された上記説明会の議事要旨だ。
3 説明会では、漏えい罪の刑事手続きにおける特定秘密の開示についての意見交換が行われた。警察庁担当者の「特別秘密の性質からいって、少しでも公判廷ででてしまう可能性があれば、各省庁は公判請求しないことになるのではないか。」との質問に対して内閣情報調査室(内調)の担当者が、公判廷で特定秘密を提示しないことについては憲法上の問題点がある、としたうえで、「我が国で参考となる有効な立法上の手当をしている国は見あたらない。米国でも、せいぜい、どうしても法廷に(秘密が)明らかになってしまうとわかると、手続きをストップする仕組みがあるくらいである。」「仏国では秘密の指定を解除しなければ、捜査機関側に渡さないという制度になっている」と述べている。
 注目すべきは、警察庁担当者の「本法制にいきなり秘匿決定制度を設けることを検討するのではなくて、例えば、外形立証の制度を法律に書くとか、公開に反しない程度で、各省庁の懸念を緩和する法制度は考えられないのか」との発言に対する内調担当者の回答だ。同人は「将来的にも立法措置が不要とで考えているわけではないが、ただちに今やるべきとは考えていない。それを実現するには相当な調整と議論を重ねる必要がある。不正競争防止法においてすら相当な労力があったと聞いているが、本法制は、憲法と直接絡んでくるため、現状としては問題となっていない中で、そこまでコストをかけるのかという議論になる」(!)と回答していることである。つまり、憲法上の問題点があるから、議論をするとなると不正競争防止法よりも時間をかけないといけない、しかし、そうすると法案提出に間に合わないので、今問題となっていない以上は議論しないでおこう、と言うのだ。
4 「現状としては問題となっていない中で」とは明らかに市民の目を意識した発言だ。市民が問題視していないから、時間をかける必要はない、ということなのだ。この内調の担当者の発言こそ、立法過程の情報の不開示の理由が、法案の問題点が明らかになることをおそれる点にあることを示している。
 仮に一昨年にこの文書が開示されていれば、法案についての議論はもっと内容のあるものになったであろうし、法案審議も継続したであろう。秘密保護法は市民の批判を封じることを周到に準備して立法作業が行われたことは明白だ。
 しかし、法の施行までに1年ある。拙速に制定された分、刑事手続きへの特定秘密の提供だけでなく、他にも多くの課題を積み残しているはずだ。それを明らかにし、政府と論争を行い続けることが法を廃止するために有効ではないだろうか。
(了)

なお、平成25年11月29日づけ開示決定で開示された「補佐級の説明会の議事要旨文書」(4枚)は以下で読むことができる。(赤枠部分が新たに開示された部分)
http://www.ombudsman.jp/data/H23-11-4.pdf
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NPO法人 情報公開市民センター
特定秘密保護法に反対します
http://www.jkcc.gr.jp/menu6.html
Commented by 西 at 2013-12-21 00:26 x
ふぅ~、
何とか読んだが、難しい。
論理が立て込んでいる。

分かり易いのは、冒頭の、
*秘密保護法案の問題性を隠蔽するための不開示 *
、、、だろうか、
すると、何を<問題性>と、指摘しなければならないが。
次に分かりやすいのが、
*立法の拙速を裏付けるだけでなく、世論喚起を恐れるために情報を不開示とした政府の姿勢を浮き彫りにした。*
批判に耐えられないことを、無理強いして、
文句を言わさず、罰を与えると言う、
極めて強権的な立法かと、、。
こんな立法を通す、立法府のだらしなさが、際立っている。
by beshi50 | 2013-12-21 00:02 | 他団体のお知らせ・資料 | Trackback | Comments(1)