秘密保全法 パブコメ結果を受けて
2013年 09月 29日
「特定秘密保護法案」=情報統制法案のパブリックコメントの結果を受け、
以下文章を発表しました。
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「特定秘密保護法案」=情報統制法案のパブリックコメントの結果が発表された。
15日間で約9万件が寄せられ、反対が8割を近くを占めたという。パブリック
コメントは原則として30日間とされている
(http://www.e-gov.go.jp/help/about_pb.html)のに、15日間と異例の
短期間だったこと、すでに法案も逐条解説も出来ているのに、意見を求めるために
公表されたのは、A4でわずか4枚の概要と別表2枚、参考資料1枚のみ。
国民に広く知らせて論議を巻き起こすことなく、「静かに」、意見を聞いたと
いう形を取りたかったのだろう。
ところが、意見を寄せた市民の8割がこの法案の持つ危険性に懸念を示した。
これは政府にとって予想外の事態だったと思われる。9月26日、法案成立を
推進するPT座長の町村信孝元外相は「組織的にコメントする人々がいたと推
測しないと理解できない」と記者団に述べたという
(http://www.tokyo-np.co.jp/article/politics/news/CK2013092702000140.html)。
彼らには、これまで極力情報を隠して進めてきた「特定秘密保護法案」=
情報統制法案にこれだけの短期間でこれほどの反対の意見が集まることが
想定外だったのだろう。
しかし、町村氏が言うような、「組織的にコメントする人々」とは誰を指しているの
だろうか。9万件もの意見を提出できるような組織などどこにあるのだろうか。
実際には、安倍内閣が進める軍事国家化を懸念し、国が秘密の名の下で、
懲役10年の重罰の脅しによって、国民の知る権利を侵害し、秘密の内に
国の重要事項を決定していこうということや民主主義に反する、政府の秘密主義に
対する危機感と法案に盛り込まれた適性評価制度などのプライバシー侵害に
表れる監視国家化への強い懸念が示されたものである。
私も共同代表をつとめる「秘密保全法に反対する愛知の会」のブログ
(http://nohimityu.exblog.jp/)には、
このパブリックコメントの募集期間中、概要が発表されるまでは一日
数百件程度のアクセス数が、8000件、2万件、最後には遂に4万件へと増え、
15日間の合計は13万件余のアクセスに上った。山本太郎さんや藤原紀香さんが
反対を表明したことの影響もあり、多くの市民が法案に対する声を上げた。
反対意見の集中は、組織的にコメントする人々などではなく、政治に関心を持つ
個々の国民の反応によるものである。その手段は組織による締め付けや
指導ではなく、インターネットなどを利用した言論によって、共感を集めたものである。
彼らが想定外だったのは、市民の言論の力だろう。民主主義は言論である。
政府は、彼らが軽蔑する民主主義に敗退したのだ。それにあせった政府は、
「報道の自由」への配慮や基本的人権を侵害することのないようにしなければ
ならないとの規定を盛り込むことを早速に表明した。「知る権利」についても
規定することを検討しているとも報じられている。しかし、社会通念上是認できない
方法による取材を処罰の対象とするなど、そこで配慮される「報道の自由」は、
政府の公式発表に限られるものである。政府の秘匿したい情報を暴くことは、
認められない。そして、一旦、検挙されれば、報道や取材への萎縮効果は
甚大なものがある。抽象的に法文にこれらを配慮すると書き込むだけでは
何も問題は解決しない。これら「報道の自由」への配慮や「知る権利」の
尊重などの規定は、反対意見を抑えるためのものであろう。おそらく今後、
盛り上がる反対運動に対して、冷や水を浴びせるために用意していたもの
なのだろう。ところが、この時点で切り札を切らざるをえなかったのは、
予想外の反対意見に対する政府の焦り以外のなにものでもない。そして、
これらの配慮が報じられた後も新聞等では反対意見が続いている。反対運動を
盛り上げ、政府が軽蔑し軽視している輿論によって、この悪法の成立を
阻止する可能性が見えてきた。各地でも反対運動への取り組みがようやく
始まりだした。一気に運動を強め、反対の輿論を広げることによって法案の
提出を断念させようではありませんか。
2013年9月27日
中谷雄二

https://twitter.com/mitsurikanana/status/384293824060616704/photo/1