共通番号法案の国会提出に対する抗議声明
2013年 03月 18日
「行政手続における特定の個人を識別するための番号の利用等に関する
法律」案(共通番号法案)を国会に提出したことを受け、
同法案は秘密保全法の手段として、国家による市民の監視を行うための準備だとして
以下「共通番号法案の国会提出に対する抗議声明」を2013年3月18日に
発表しました。
http://nagoya.ombudsman.jp/himitsu/130318.pdf
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共通番号法案の国会提出に対する抗議声明
政府は、2013年3月1日、「行政手続における特定の個人を識別するための番号の利用等に関する法律」案(共通番号法案)を国会に提出した。
民主党政権時代の2012年2月に提出され、衆議院解散とともに廃案となった同名の法案は、各種の個人情報に共通番号をつけて名寄せできるようにすることにより、個人のプライバシー情報を統合する内容であり、市民のプライバシーを侵害するおそれのあるものであった。
今回政府が閣議決定した法案は、旧法案よりも官と民において共通番号の利用をより拡大することを目指している。この点でより一層、自己情報コントロール権の侵害やなりすましなどによるプライバシー侵害のリスクを高めるものといわなければならない。法案では「特定個人情報保護委員会」を設置することでプライバシー侵害に対処するとしている。しかし同委員会の所掌事務は番号付き個人情報(特定個人情報)の範囲に限定されており、実効性が疑問である。
しかも政令で定めれば警察等が収集・利用する特定個人情報に関しては同委員会の命令や立入検査の権限が及ばないことにもなりうる。一方、秘密保全法の立法過程の情報公開請求の結果を見る限り、秘密保全法の立法化にもっとも熱心なのは警察庁である。こうしてみると、監督機関の権限の及ばないまま、秘密保全法が想定する「人的管理」のために、警察等が個人情報(例えば氏名、住所、電話番号、顔写真、学歴、職歴、病歴、犯罪歴、海外渡航歴、結婚・離婚歴、借入の有無・額、クレジットカードによる買い物歴、インターネットサイトの閲覧履歴など)を収集する手段としてこの法案が用いられることは十分に想定される。
この法案は、秘密保全法の手段として、国家による市民の監視を行うための準備だというほかない。市民のプライバシーを侵害し、監視社会を作り上げる共通番号法案の国会提出に対し、厳重に抗議するとともに、提案の撤回を強く求める。
2013年3月18日
秘密保全法に反対する愛知の会
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