秘密保全法制定過程の情報公開から見えてくるもの
2013年 02月 15日
踏まえて、NPO法人 情報公開市民センター 事務局の内田隆さんが
「秘密保全法制定過程の情報公開から見えてくるもの」という文書を書きました。
http://www.jkcc.gr.jp/menu6.html#130215
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秘密保全法制定過程の情報公開から見えてくるもの
NPO法人 情報公開市民センター 事務局 内田隆
なぜ訴訟を起こしたのか
情報公開市民センターは、国の情報公開を進めるために2001年に市民オンブズマンが母体となって結成したNPO法人で、外務省機密費・内閣官房機密費の開示請求・公開訴訟や、情報公開法の改正を求める運動を行ってきました。しかし、情報公開を無にする「秘密保全法」の制定を政府が目論んでいる現在、反対の声をただあげるだけでなく、立法を主導する官僚組織内部でどのような議論が行われ、法案がどうなっているかを明らかにして国民同士の議論の前提を作ろうと考え、情報公開請求しました。
しかし、省庁間の協議内容と法案はすべて非公開とされたため、2012年11月に名古屋地裁に開示を求め提訴しました(極秘通信2号参照)。
開示文書から見えてくるもの
協議内容・法案は非公開でも、開示された2012年4月分までの2641枚を分析してわかることはあります。法案名は「特定秘密の保護に関する法律」(仮称)。協議は立法担当の内閣官房内閣情報調査室が関係各省庁に法案を示してそれぞれ意見を出し、さらに内閣法制局が法案を審査して行っていますが、2012年4月末までの関係省庁との協議回数を調べたところ、最も多かったのが警察庁の25回。外務省の18回、内閣官房の12回、防衛省の11回、公安調査庁の5回、経済産業省の4回、法務省の3回と続きます。秘密保全法は「①国の安全②外交③公共の安全及び秩序の維持」を対象とする予定ですが、特に③公共の安全及び秩序の維持を所管する警察庁が極めて熱心なことが、協議回数から分かります。また、内閣法制局は2012年4月末までに26回も審査を行っていました。2012年3月時点で法案はすでに完成し、同年4月には、逐条解説案、用例集案までできています。
また、開示された論点のタイトルを見ると、「秘密指定の指定権の所在」等だけでなく、人的管理の適正評価と「思想・良心及び信教の自由との関係」や「法の下の平等との関係」などの文言があり、本法案が憲法に抵触するおそれがあることを立法担当者が十分承知していることがわかります。
本訴訟の重要性
上記のように、政府が憲法に抵触するおそれのある秘密保全法の検討過程を非公開としているのは、国民の中で反対運動が盛り上がることを恐れているからだと思いますが、だからこそ本訴訟にて検討過程を公開させる必要があります。
情報の公開は民主主義の必要条件です。国民が積極的に情報公開請求することこそ、秘密保全法制定を目論む勢力に対抗する極めて有効な手法ではないでしょうか。
(開示された黒塗り文書は、情報公開市民センターのwebにすべて掲載しています。
http://www.jkcc.gr.jp/menu6.html )