自衛隊情報保全隊訴訟と秘密保全法
2012年 11月 12日
『自衛隊情報保全隊訴訟と秘密保全法』という文書を書きました。
(中谷弁護士は、自衛隊情報保全隊訴訟の原告側代理人)
秘密保全法がない現状でもこのようなことが行われているのがよくわかります。
「秘密保全法に反対する愛知の会」ニュース「極秘通信」第1号
(12/11/19発行)に掲載しました。
http://nohimityu.exblog.jp/18821278/
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自衛隊情報保全隊訴訟と秘密保全法 弁護士 中谷雄二
今年の3月26日、仙台地裁でイラクへの自衛隊派遣に反対する市民らを監視した自衛隊の情報保全隊の行動を「自己情報をコントロールする権利」を侵害したとして、損害賠償を命じる判決が出された。この事件の控訴審が仙台高裁で続いている。この裁判での国側の主張から、秘密保全法がどのような役割を担っているか、法制定前にすでにそれを前提とした体制が出来上がっていること、国民の人権を政府が全く尊重していないことが明らかになっている。
国は地裁判決で違法と認定された市民への監視行為を行ったこと、情報を収集し、報告していたことなどについて、裁判でも全く認否しない。高裁での国の主張は、「事実を認める訳ではない。しかし、(裁判で)認否をすることが公務の秘密を害するから認否しない。」というものである。裁判で国が国民の権利を侵害したと訴えられている行為について行ったかどうかすら認否しないというのである。
さらに、監視行為の必要性について国は、自衛隊への襲撃、自衛隊の秘密の探知・収集行為などに備えて、その危険がある市民を監視する必要があるのだという。自衛隊の秘密の探知・収集行為は現行自衛隊法上は違法な行為ではなく、秘密保全法で「特定取得行為」として新たに懲役10年以下という重罰で処罰しようと言う対象の行為である。つまり、国の側の主張から見えてくることは、自衛隊のイラクへの派遣など政府の決めたことに反対する市民は、自衛隊の秘密を探知・収集するおそれのある者だから監視し、その情報を収集する必要があり、すでにそれを行っている。秘密保全法は、秘密を探知・収集をしたと国が認定すれば、懲役10年以下の犯罪を犯したとして検挙、処罰を可能にするものだということである。
そして、国は、ひそかに市民を尾行し、監視し、情報を収集していた行為について、強制にわたらない限り、権利を侵害しないと裁判で主張している。つまり、対象者に知られないようにひそかに監視したり、情報を収集する行為は権利侵害ではないと言っているのである。ここにはプライバシーの権利への配慮など全くない。国の前で国民はプライバシーなどないと考えていることがよくわかる。
これらの国の主張から、秘密保全法が制定される前から制定された後の体制を国が完成しており、そのための情報収集活動も行っていること、対象は国の方針に反対する市民であること、一旦、秘密保全法ができあがれば、現在は監視対象にとどまる市民も刑罰の対象になりえることであり、そのとき、裁判は秘密を理由に機能しなくなり国民の基本的人権など無視されるということである。
監視社会や国による強権的な支配は過去のことではなく、すでに現実に進行しつつあることを認識しなければならない。秘密保全法はその国に強大な処罰権限を与える法律である。絶対に制定させてはならないことをこの事件は示している。
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参考:自衛隊の国民監視差止訴訟を支援するブログ
http://blog.canpan.info/kanshi/




