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特定秘密保護法に反対するため、弁護士や市民が「秘密法と共謀罪に反対する愛知の会」を結成しました。各地のイベント、最新ニュースも載せます。集団的自衛権にも反対です。https://www.facebook.com/nohimityu


by beshi50
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秘密保護法運用基準案等の問題点~やはり秘密保護法を認めてはならない

「秘密保全法に反対する愛知の会」事務局長の濵嶌将周弁護士が、以下文書を
書きました。
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秘密保護法運用基準案等の問題点~やはり秘密保護法を認めてはならない
「秘密保全法に反対する愛知の会」事務局長 弁護士 濵嶌将周

1 秘密保護法の運用基準案等に関するパブコメの実施
 昨年末に強行採決され制定された秘密保護法の問題点として、「特定秘密」の範囲が広範かつ曖昧であること、そのため「特定秘密」の指定にあたって行政の恣意が働く余地が広いこと、このような「特定秘密」の漏えいに関する処罰範囲が広く、報道の自由や知る権利を侵害するおそれが高いこと、秘密取扱者の適性評価はプライバシー侵害性が高いことなどが指摘されてきた。同時に、秘密保護法の特徴として、政令への委任事項が非常に多いこと(22箇所)が指摘されてきた。
 本年7月24日から8月24日までの1か月間、意見募集されたのは、秘密保護法の施行令案(秘密保護法に規定された政令委任に対応するも)や運用基準案(秘密保護法18条「特定秘密の指定等の運用基準等」に対応するもの)等である。
 運用基準案等という細かな各論のパブコメであったが、政府に寄せられた意見総数は2万超。1000件を超えれば多いといわれるパブコメにあって、この数の多さは、市民がいまだ秘密保護法に大きな不安をいだいている現れだといえる。にもかかわらず、政府は、パブコメを(ほんのちょっとだけ)反映させた修正運用基準案等を、9月10日に情報保全諮問会議に示した。報道によれば、10月10日に閣議決定、12月10日に秘密保護法を施行する方針だという。
2 運用基準案等の問題点と「修正」
 結論として、運用基準案等は、上記のような秘密保護法の問題点を解消するものではない。秘密保護法が根本的に欠陥法なので、枝葉にすぎない運用基準等をいくらいじってみても、ほとんど意味がないのである。
 以下、運用基準案等の問題点の一部を挙げてみる。
① 例えば、施行令案では、秘密の指定機関が「限定」列挙された。しかし、防衛、外交、治安、経済、資源エネルギー関係の19省庁に上っており、実質的には限定されていない。
② 施行令案では、「特定秘密の漏えいのおそれがある緊急事態に際し、その漏えいを防止するため他に適当な手段がないと認められる場合における焼却、破砕その他の方法による特定秘密文書等の廃棄」が認められた。内閣総理大臣の同意すらないまま、重要情報が闇から闇へと葬られる危険性がある。
③ 秘密の対象となる「防衛に関する事項」に「自衛隊の運用」が掲げられているが、運用基準案では、これに「米軍の運用」が含まれることが明記された。米軍と自衛隊の一体化が前提なのである。
④ 適性評価をかたった思想調査をしないための方策として、運用基準案では、「評価対象者の思想信条並びに適法な政治活動及び労働組合の活動について調査することは厳に慎」むとされている程度で、具体的な運用基準は示されていない。
⑤ 運用基準案は、秘密取扱者に対して、「漏えいの働き掛けを受けた場合」のみならず、「その兆候を認めた場合」にも、上司らへの報告等を求めており、国民監視を助長しかねない。また、秘密取扱者間でも、「外国籍の者と結婚」など、「特定秘密を漏らすおそれがないと認めることについて疑義が生じた」場合には、速やかに特定秘密管理者に報告することを求めており、相互監視をももたらす。
⑥ 秘密保護法の適正な運用を監視する第三者機関として、運用基準案には、「内閣保全監視委員会」および「内閣府独立公文書管理監」が掲げられた。しかし、これらに独立性はなく、チェック機能は期待できない。
⑦ 運用基準案は、適正確保のために、秘密指定等に関して行政機関に内部通報窓口を設けるとした。しかし、通報に際しては、「取扱業務者等は、特定秘密である情報を特定秘密として取り扱うことを要しないよう要約して通報するなどし、特定秘密を漏らしてはならない」とされている。裏を返せば、要約を誤れば漏えい罪に問われかねないのだから、この窓口が利用されることはないだろう。
⑧ 秘密保護法の罰則規定に関しては、運用基準案には具体的な言及がなく、濫用の危険性は何ら払拭されていない。
 これらの中で、パブコメ後の「修正」は、③の「米軍の運用」が削除されたくらいである。全体としても、「国民の知る権利の尊重」が明記され、法施行5年後に運用基準を見直すといった程度の微修正にとどまった。依然、「特定秘密」の指定基準が不明確のままであるなど、秘密保護法が欠陥法であることの解決にはほど遠い。
3 秘密保護法の施行延期、さらに廃止をめざして
 そうである以上、やはり秘密保護法を認めるわけにいかない。
 私たちは、「秘密保護法は戦争できる国づくりのための情報統制法だ」と訴えてきた。果たせるかな、安倍内閣は7月1日、集団的自衛権行使容認等を閣議決定し、関連法案の改正等を順次進めようとしている。これは偶然ではない。予定されていた〝流れ〟なのである。
 日本に再び戦争をさせないために、秘密保護法施行の無期限延期、さらに廃止を求める活動を続けていこう。
by beshi50 | 2014-10-07 10:47 | 資料 オリジナル | Trackback | Comments(0)