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特定秘密保護法に反対するため、弁護士や市民が「秘密法と共謀罪に反対する愛知の会」を結成しました。各地のイベント、最新ニュースも載せます。集団的自衛権にも反対です。https://www.facebook.com/nohimityu


by beshi50
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憲法違反と「軍事秘密」(内河惠一弁護士)

「秘密保全法に反対する愛知の会」会員の内河惠一弁護士が
自衛隊イラク派兵差し止め訴訟の経験を踏まえ 「憲法違反と『軍事秘密』」
という文書を書きました。
ぜひお読みください。

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憲法違反と「軍事秘密」

2003年3月米英軍がイラクに対して「イラクの自由作戦」を開始して丁度10年になる。日本の陸上自衛隊の先遣隊がイラク南部のサマワに出発したのは、翌2004年の1月。憲法9条を有するわが国が英米軍に追随して自衛隊を海外に派遣し、英米軍に荷担することは明らかに憲法違反であり、許されるべきではないとして、全国から集まった3000人以上の市民が名古屋地裁に訴えを提起したが、その第1次訴訟(1262名)の提起は2004年の2月であった。その後、全国的なイラク派兵反対運動と併せて、各地の裁判所(全国で11カ所)で厳しい訴訟活動が展開され、その結実として、2008年4月17日名古屋高等裁判所は、自衛隊のイラク派兵は憲法9条1項に違反するという画期的な判決を出した。名古屋高裁が上記の判断をした理由は、「航空自衛隊が多国籍軍との密接な連携の下で、多国籍軍と武装勢力との間で戦闘行為がなされている地域と地理的に近接した場所において、対武装勢力の戦闘要員を含むと推認される多国籍軍の武装兵員を定期的かつ確実に輸送しているものであるということができ、現代戦において輸送等の補給活動もまた戦闘行為の重要な要素であるといえることを考慮すれば、多国籍軍の戦闘行為にとって必要不可欠な軍事上の後方支援を行っている」と判示し、これをもって憲法第9条1項の武力の行使と判断したことに尽きる。裁判所は、種々の間接証拠から、判決の中で、航空自衛隊が多国籍軍の武装兵員を輸送していることを認定したのである。実は、何を航空自衛隊が輸送しているか、原告らが再三に亘り情報開示請求をしたが、国は、軍事秘密を理由に決してその事実を明らかにしなかった。「国の秘密主義」は、国の行為が憲法に違反するか否かという重大な場面にまで罷り通るのである。軍事には秘密が付きものである。確かに、敵に軍事行動が筒抜けになっては困る。しかし、「軍事情報」といっても、その機能する場面は多様である。軍事に関わる全ての情報が主権者に対しても秘密である必然性はない。国の行為はあくまでも憲法の精神と定めの中で営まれるべきであり、民主主義国家においては、その当否を審判するのは国民である。従って、国民には十分な判断材料が提供されなければならない。これこそが国民主権・立憲主義の下にあるわが国成り立ちの最低限の条件である。この判断材料が国民に秘密とされるとき、わが国の民主主義は大きく破綻し、暗黒政治という昔の道を再び辿ることになりかねない。国が国民に知られたくない事柄を恣意的に特別秘密にしようとする秘密保全法制を絶対わが国に作り出してはならないのである。
(会員 弁護士 内河惠一)
by beshi50 | 2013-02-14 15:19 | 資料 オリジナル | Trackback | Comments(0)